無事、全日程終了いたしました。ご来場、ご支援のほど、誠にありがとうございました。
INTRODUCTION
「透明なシートはずっと存在していた」
街に出かけると、対面を必要とするあらゆる場所に透明なビニルシートがかけられるようになった。
ソーシャルディスタンスという言葉を、フィジカルディスタンスという言葉にしようという動きも一部あるらしい。
社会的な距離はずっと取っていて、ついに肉体的な距離も取る時代になろうとしている。
だけど、僕らはずっと透明なシートで自らを覆って生きてきたんじゃないかと感じることがある。
シートに覆われながら、自分よりも目立っている人たちのことを妬んでいる。
シートは透明だから、その醜い姿はあちこちで見えてしまい、鬱々とした気分が立ち込めている。
すぐに主語を大きくし、他人事にしてしまいがちだ。
だから、あえて、最も個人的な物語を晒す。
向き合う覚悟を持たなければ、何も残らない。
透明なシート越しにご覧ください。
STORY
いつしか俳優になることを夢見て上京し、良くも悪くも東京での生活にすっかり馴染んでしまった男。
ある日、高校時代の後輩の女が同じ夢を見て、上京してきた。
一緒に生活をすることになった二人。
毎晩、性の匂いがするなか、女に触れられない日々が続く。
そんな男を尻目に、女はどんどん活躍していく。
AV女優として。
日々、輝きを増す女、日々、くすんでいく男。
男は女をおかずにしていることをずっと黙っていた。
欲望が晒されたとき、そこから消えるもの、残るものとは一体何なのか?
CAST
ムトコウヨウ
男
1991年9月30日生まれ。兵庫県神戸市出身 。
大阪芸術大学舞台芸術学科卒業、劇想からまわりえっちゃんの看板俳優として活動中。
また、人生経験が豊富なため実際に経験したスベらない話を山ほど持っている。1団体に1人は欲しい存在。
星秀美
女
1991年10月2日生まれ。東京都出身。
桜美林大学総合文化学群を卒業、レティクル東京座退団を経て、現在フリーで活動中。女優としての活動にとどまらず、「読み合わせカフェ」「TRY-SYSTEM」の企画運営等、自らも様々な角度から演劇の在り方を模索すべく精力的に活動している。
COMENT
深夜ガタンゴトン3年ぶりの公演にあたり、いろんな方からコメントをいただきました。
(順不同、敬称略)
榊菜津美(アマヤドリ)
深夜ガタンゴトン活動再開、とっても嬉しいです。
普段活動休止って聞くと、正直「まぁもう見れない可能性も十分あるよな…」と思ってしまうんです。
でも、裕本さんは絶対戻ってくる確信があった。だから裕本さんに会うたびに「いつ再開するんですか?!」と聞き続けたのでした。
なので、深夜ガタンゴトン活動再開、とっても嬉しいです。
裕本さんと最初にお会いしたのは確かレトロな素敵喫茶店で、「とても人当たりの良い方や・・・」と思ったのを覚えています。
その喫茶店で私は『つきまとう教室』に出演させていただくことになったのですが、稽古場でも劇場でも、やっぱりとても人当たりの良い方でした。
「人当たりの良い方って色んな経験をしてきた方が多いぞ」、という持論があるのですが、裕本さんもまさにそれじゃないかしら。
そんな方が書く半分自叙伝な作品、とても興味があります。
裕本さんの作・演出で、私は俳優の賞を頂きました。
俳優の事をすごく生かしてくださる作演さんだなぁと思っています。
今回は、数年来の俳優仲間の星ちゃんも出演するとの事。
チャーミングで努力家な星ちゃんの魅力がすごく詰まっているのだろうなと、勝手に想像しています。
星ちゃんとはこの作品の翌月に、私の企画する作品で初めて共演もします。
この作品を経た星ちゃんとの共演を、とっても楽しみにしています。
深夜ガタンゴトン活動再開、とっても嬉しいです。
アマヤドリ 榊菜津美
大石晟雄(劇団晴天)
座組の時点で掛け算が爆発してて最高です。
この文章を書いているとき、ちょうどムトさんがバナナミルク屋さんを渋谷にオープンするというツイートが流れてきました。所属の劇想からまわりえっちゃんは、劇団員全員の主体性がほんとうにたのもしい団体です。
星さんは読み合わせカフェを定期開催していたり、この時期でもオンライン演劇のシステムを作ったりと、火を絶やさず発信し続ける人です。
ヤスさんはわたしの前では最近いつも笑っているので、直接聞くことはありませんが、その目の裏にはたくさんの後悔と衝動と悟りとが渦巻いているのだと思います。
しばらく演劇を上演していなかった間にきっと、とてつもない量の酸いも酸いもを噛み分けているだろうので、その自伝を上演するには、ふたりのように身体に蓄積がある俳優が必要だったのでしょう。
座組の時点で掛け算が爆発してて最高です。それぞれの持つ人生が掛け合わさった作品を拝見できるのを、楽しみにしています。
劇団晴天主宰 大石晟雄
池田美樹(劇団きらら)
新しい距離の実験が始まる。
独特の距離感。
裕本君の初対面のときの印象。クールかと思えば人懐っこい。
…かと思えば余韻なくシュッと立ち去る。
……かと思えばこちらの言葉を丁寧に拾って熱く語ってくれる。
翻弄。
熱い彼を好きになって冷たい思いをしてしまい、悶々とした女子は幾人もいるんじゃないか。
そんな裕本君が「距離の話」を作る。
透明でまるみえなのに触れられない、ビニール越しの物語を作る。
もしかしたら裕本君は人と全然違う目盛りのものさしを持っていて、本人がいちばん、それに戸惑ってるんじゃないか。
そしてその戸惑いは多くの人の共感を集めるのではないか。
とにかくこの時期に公演を企画する、というだけで実はとても熱い。
あまたの演劇人がいろんな実験を重ねて来たスタジオで、新しい距離の実験が始まる。
劇団きらら 池田美樹
フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)
ちょっとこれは事件ですよ。
特に用事もなくただなんとなく飲みに行く友達。
それが僕と裕本さんの関係です。お酒を飲んでいろんな話をだらだらしゃべる。お互い脚本を書いたりする人でもあるので、酒の肴は概ね演劇の話だったり。というか実はそれ以外あんまり共通点ねえんじゃねえの、って気もする。
裕本さんは、役者さんそのものの素材の味わいを活かしつつ、裕本さん自身の苦悩だったりなんだったりをペーソスたっぷりに描く作家さんだなと僕は認識しており(不本意だったらすいません)、つまり自然主義文学というか、演劇界の田山花袋と言っても過言ではない(そうか?)、そういう作品を作る人で、そのマナイタの上に乗るのが星秀美&ムトコウヨウさんときたら、ちょっとこれは事件ですよと。かようにおもうわけであります。
星さんはこの間うちの劇団にも出ていただいて、とても誠実でクレバーで地に足ついた方だなあと思い、でもそれだけで終わらない、どうしようもないなにか、エネルギーや、感情や、いや、そんなものでもない、なにかもっと、名状しがたい、得体の知れぬ獣、それを腹の底で飼い慣らしているのではないか。
いや、誰しもおそらくそうなのでしょう。今このご時世に自ら進んで演劇なんてやろうとする人間は多かれ少なかれ矛盾をかかえた、一筋縄ではいかない歪んだ人間ばかり。否、人間などというものはそういう生き物なのかもしれません。それを嘘で塗り固めるでもなく、冷笑するでもなく、ただただ生のままズバンと放り出さんとする二人の俳優の胆力、演出の勇気に敬意を払いつつ、歪んだ彼らが世に放つ、鼻つまみものどもの哀歌〈ブルース〉が一体どんな音を響かせ、どこに向かっていくのか、恐ろしくも楽しみにおもっています。
終わったら酒が飲みてえなと。きっとそんな作品になるんじゃないかしらん。
劇団肋骨蜜柑同好会 フジタタイセイ
料金
一般2900円
高校生以下500円(数量限定)
完全予約制
チケット販売開始 2020年7月11日(土)12:00〜
チケット取り扱い 深夜ガタンゴトン(PassMarket)
支払方法 クレジットカード・コンビニ決済
※当日の接触機会削減のため、原則電子チケットでの対応。
開場は開演時間の20分前
上演時間 約60分予定
各回定員15名
会場 王子スタジオ1
〒114-0002 東京都北区王子2-30-5 京浜東北線「王子駅」北口下車徒歩7分
感染症対策について
チケットについて
会場について
作品について
作品中には性的な表現がございます。予めご了承ください。また時代とともに変容する価値観とは異なる価値観を孕む表現がございますが、そのような価値観を助長する意図はございません。
その他、本公演に関する情報は本サイト・公式Twitterでお知らせいたします。
脚本・演出:裕本恭
アシスタント:南大空
ビジュアルデザイン :吉田電話
ドラマトゥルク:塚越健一(DULL-COLORED POP)・長野りんご萌子(おやき山脈)
脚本アドバイザー:玉山悟
主催・企画・製作:深夜ガタンゴトン
協力:劇想からまわりえっちゃん
INFO
公演に関する情報。
チケットの払い戻しに関する事前のご案内
2020年7月19日更新
当日の入場・会場に関するご案内
2020年8月14日更新
グッズ販売に関するご案内
2020年8月14日更新
© 2020 shinya gatan goton